私たちの研究で、個々人の体質に合わせた
腎臓病や生活習慣病の予防医療の発展へとつなげたい

私ども九州大学病態機能内科学（旧第二内科）腎臓研究室は、福岡県を中心に北部九州医療圏の広い地域において腎臓病診療に従事しており、共通の診療方針に基づく高度な専門的腎臓病医療を提供すべく、多くの研究室員が様々な施設において日々研鑽に努めています。

日常診療を通じて、腎臓病患者の皆さまの疾病管理、健康増進に貢献することはもちろんのこと、腎臓病の病態解明や根本治療に繋がる基礎、臨床両面からの幅広い研究に取り組むことにより、腎臓病学の発展に寄与することも私どもに課せられた重要な使命です。

そこで、当研究室では、腎臓病の進行を遅らせ、心臓病や脳卒中など他の疾病の併発防止を目指した研究や診療を展開していくための指針を得るべく、様々な生活習慣と腎臓病の進行に関わる要因の解明を目的とした「福岡腎臓病データベース研究（FKR）」を実施しています。

生活習慣と疾病は深く関係しており、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病を始め、様々な病気が生活習慣によって引き起こされます。腎臓病もこれらの疾病同様に生活習慣との関わりが密接であり、本研究では、皆さまにご回答いただいた「生活習慣などに関するアンケート」の集計結果を元に、どのようなことを心がけ、実践することで腎臓病の進行を遅らせることができるのか、日常生活に密着した身近な研究テーマを設定し、その成果をお役立て頂きたいと考えています。

また、近年、バイオテクノロジー技術の急速な発展によって、少量の血液や尿から、遺伝情報や体内の細胞の代謝状況の詳細が調べられるようになりつつあります。本研究においても、皆さまから頂いた血液や尿試料の分析を行うことによって、個々人の体質に合わせた腎臓病や生活習慣病の予防医療の発展へとつなげて行きたいと考えています。

本研究プロジェクトは、腎臓病をお持ちの患者さんにとって、健康状態の把握や疾病予防につながる生活習慣調査の重要な基礎資料となりますので、是非とも本研究の趣旨を多くの方にご理解頂き、ご協力を頂きますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

国内外でいくつかの腎臓病コホート研究がありますが、FKRは他のコホート研究と比較しても遜色ない規模の大規模研究で、血液や尿、遺伝情報などの試料を保存し、今後の追跡体制も整っていることより、世界に類のない貴重なデータベースとなりえます。本研究の進捗状況や研究で解明された新たな情報などについては本ホームページで発信していきますので、皆さま方には引き続きご協力のほどお願い申し上げます。

最後になりますが、本研究にご協力いただく患者の皆さま、ご家族の方々、ほかご協力いただく全ての方々に、心より御礼申し上げます。