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研究2019.10.15

植木研次先生(H21)の症例報告がCEN Case Reports誌に掲載されました!

低補体性蕁麻疹様血管炎(抗C1q血管炎)は低補体血症と蕁麻疹様の皮疹を特徴とする小血管炎で,糸球体腎炎を伴うことがあります.

診断基準の小項目に腹痛が含まれていますが,これまで本疾患による消化管血管炎の報告はありませんでした.本症例は上部消化管内視鏡検査による低補体性蕁麻疹様血管炎の病変を初めて報告しました.

また本症例は腎生検で半月体を伴う活動性の高い膜性増殖性糸球体腎炎の所見を認めましたが,蛍光抗体法や電子顕微鏡検査では明らかな免疫複合体を認めませんでした.本症例はC3優位の低補体血症であり,これまで報告されていた免疫複合型腎炎ではなく,補体副経路を機序とする腎炎である可能性が示唆されました.

本症例は低補体血症と原因不明の糸球体腎炎の経過から,蕁麻疹様皮疹の病歴聴取・身体診察を行ったことで本疾患を疑い,抗C1q抗体測定から確定診断に至りました.臨床を大事にする私たちの診療姿勢が確定診断へとつながった一例だと思います.

九州大学大学院医学研究院 病態機能内科学 腎臓研究室

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