研究内容

臨床研究

慢性維持透析患者におけるがん診療に関する多施設共同観察研究

はじめに

近年,透析がん患者さんは増加傾向にあります.

一般的に,がんに対する治療は, 様々な標準治療が確立され,治療成績の向上がみられます.
特に薬物療法について は,新規抗がん薬,分子標的薬の開発に伴い,
様々ながん種において生存期間の延 長が証明されています.

しかし,透析患者の場合,どんながんが多く,どのような治療が選択されているかは
わかっておりません.
また,薬物治療の場合も,薬の適切量や薬による副作用の起こる頻度と治療効果の関係について
検討された研究もありません.

本研究は以上の不明な点を明らかにする研究(疫学研究)で,
具体的には,「維持透 析中のがん患者に選択された治療の現状」として,
2010年から2012年の3年間に当院でがん治療を受けたことのある患者さんすべての
「がん種」「治療内容」を調査します.

さらに,頻度の高い8がん種(肺・胃・大腸・肝臓・乳房・膵臓・腎臓,膀胱がん)に対して
「詳しい治療内容」,「治療効果」,「使用された薬剤による有害な事象と」などを 明らかにして,
今後の透析患者さんのがん治療の方針をより明確にするのが本研究の目的です.

対象

2010年1月1日から2012年12月31日の3年間に当院でがん治療を受けたことのある
すべての患者さんの,すべての「がん種」「治療内容」
さらに,肺・胃・大腸・肝臓・乳房・膵臓・腎臓・膀胱がんに対して
詳細な治療内容・効果・有害事象について,カルテをもとに情報を収集します.
腎移植を受けたことのある方は対象となりません.

※ 対象者となることを希望されない方は,下記連絡先までご連絡下さい.

研究デザイン

後ろ向き観察研究

研究内容

この調査は過去のカルテを参考にしておこなわれるので,
患者さんに対して調査による不利益がでることはありません.

この結果は,腎臓病や癌治療に関する学会や医学雑誌に公表されることがあります.
研究に組み入れられることを希望されない方は担当医や下記にお知らせください.
その場合,データ収集や統計処理はいたしませんし,
それにより,不当な診療上の不利益を受けることもありません.

また,研究内容については自由に質問することができます.

全国での目標登録数は700例,九州大学病院では70例の登録を予定しています.
この研究を行う期間は,倫理委員会で承認されてから2019年10月31日までです.

【収集するデータ】
   ・年齢,性別
   ・透析原疾患,透析導入日
   ・原発臓器名/腫瘍名,がん診察日,がん診断の契機,診断方法,
    進行度(TNM分類),Disease Status,造血器腫瘍に関しては診断・病期・予後システム
    初回治療法,ベストサポーティブケアを選択した場合の理由
   ・透析条件(身長,ドライウェイト,透析時間,ダイアライザー,血流,透析回数/週,ESA使用の有無)
   ・治療直前の血液検査データ
   ・治療開始日
   ・最終確認日(死亡の場合は死亡日)と状態

 

個人情報の管理について

個人情報の管理は事務局から発行される登録番号,生年月,性別で行い,
患者さんの氏名など個人情報が外部に漏れることがないよう十分留意します.

調査票に転記された情報は,事務局である京都大学大学院 腎臓内科学へ郵送します.
事務局のデータファイルにはパスワードが設定され,
第三者が閲覧できないようになっています.

また,この研究の成果を発表する場合にも,
あなたが特定できる情報を使用することはありません.

この研究によって取得した情報は,京都大学大学院 腎臓内科学 教授 柳田素子,
および九州大学大学院医学研究院 包括的腎不全治療学 准教授 鶴屋和彦の責任の下,
厳重な管理を行い,研究終了後 5 年間保存した後復元できない状態にして
ハードディスクから消去いたします.

研究期間

研究を行う期間は承認日より2019年10月31日まで

医学上の貢献

本研究により,参加する患者さんが直ちに直接的な利益を得ることはありませんが,
今後の透析患者さんのがん治療の方針をより明確にするという点で医学的に大きな意義があります.

連絡先

この研究のことで何かわからないことや心配なことがありましたら,
いつでも,ここに記載されている医師または連絡先にお尋ねください.

【研究責任者】
 九州大学大学院 九州連携臨床腫瘍学  教授 馬場英司
 九州大学大学院 包括的腎不全治療学 准教授 鶴屋和彦

【研究分担者】
 九州大学大学院 九州連携臨床腫瘍学  助教 在田修二
 九州大学大学院 病態修復内科学    医員 熊谷穂積
 九州大学大学院 包括的腎不全治療学  助教 吉田寿子

【連絡先】
 092-642-5843 (腎疾患治療部・医局)(平日 8:30~17:00)
 092-642-5268 (腎・高血圧・脳血管内科病棟)(夜間・休日)

研究機関

この臨床研究は,以下の施設で実施される多施設共同研究です.

【研究代表責任者】
 京都大学大学院 腎臓内科学   教授 柳田素子

【研究事務局】
 京都大学大学院 腎臓内科学   助教 松原雄
 京都大学大学院 臨床薬物治療学 医員 船越太郎
 
【データ登録担当医師】
 京都大学大学院 腎臓内科学   助教 西岡敬祐

【データ解析担当医師】
 京都大学大学院 腫瘍薬物治療学 助教 堀松高博

進捗状況

2015年末現在で39症例の登録を行いました.

九州大学大学院医学研究院 病態機能内科学 腎臓研究室

〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1 交通アクセス

TEL:092-642-5256 FAX:092-642-5271
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