基礎研究
活性酸素シグナルの慢性腎臓病における役割
活性酸素シグナルの慢性腎臓病における役割


私たちは腎臓に高く発現する、活性酸素を産生するNADPH oxidase 4 (NOX4)と
活性酸素の産生制御を行うアルギナーゼ2に注目しました。
急性腎障害では大量の活性酸素が生じ、ストレスとなりますが、
慢性腎障害では活性酸素がストレス以外にもシグナルとして働く局面もあると仮説をたて、研究を進めています

NOX4の腎疾患における役割

恒常的に活性酸素を産生しています。
腎臓[1] や心臓、血管[2] で発現が高いことが分かっています。
腎臓でのNOX4の発現部位の解析や、アンジオテンシンIIの投与による慢性腎障害モデルマウスを作成し、
NOX4の役割を調べています。
anti-NOX4 (×200)

Shiose A, et al. J Biol Chem. 2001, 276(2):1417-23.
アルギナーゼ2の急性腎障害に与える影響

アルギナーゼ2によってL-アルギニンが分解されると、NOSによるNO産生が減少します。
私たちはプロテインキナーゼCの一つであるPKCηノックアウトマウスのマクロファージにおいて
アルギナーゼ2の発現が高いことを発見しました[3]。
元来、アルギナーゼ2は腎臓で高発現することが報告されていました[4]。
また病的状態ではアルギナーゼの発現が増加するため、急性腎障害でもアルギナーゼ2の発現が増加するのか、
またアルギナーゼ2の発現増加が腎障害の進行にどう関与しているのかを調べています。
参考文献
1) Shiose A, Kuroda J, Tsuruya K et al,
A novel superoxide-producing NAD(P)H oxidase in kidney. J. Biol. Chem. 276, 1417-1423
2) Kuroda J, Ago T, et al,
NADPH oxidase 4 (NOX4) is a major source of oxidative stress in the failing heart. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2010, 15565-15570
3) Torisu K et al, PKCη deficiency improves lipid metabolism and atherosclerosis in apolipoprotein E-deficient mice. Genes Cells, 2016 in press.
4) Choi S et al, Immunohistochemical study of arginase 1 and 2 in various tissues of rats. Acta Histochem. 2012, 114, 487-494