腎臓研究室について

診療実績

腎・高血圧・脳血管内科

腎・高血圧・脳血管内科には、さまざまな病期の慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)の方々が入院されています。検尿異常や腎炎の精査である腎生検を受けるため、腎代替療法を開始するため、透析導入後の合併症を治療するためなど、患者さんの入院の目的は多岐にわたります。慢性腎臓病の治療について学び、食事療法や運動療法を体験するため教育入院をする方もいらっしゃいます。

当院では、2006年に腹膜透析診療を開始しました。近年の腎代替療法の選択は血液透析:腹膜透析が8:2程度であり、腹膜透析を選択する患者さんが全国平均よりやや多い傾向です(図1)。現在は50名前後の患者さんを腹膜透析外来で診療しています(図2)。透析導入前の生体腎移植である先行的腎移植を希望する患者さんも増え、第一外科へ紹介することが多くなっています。
九州大学病院の第一外科では、腎移植(生体腎・献腎移植)および脳死下膵腎同時移植を行っており、症例数をみても国内有数の移植施設といえます(図3)。当科は、国内にはまだ少ない「移植内科」として、第一外科のスタッフと連携しながら、移植成績の向上や移植患者さんの生活の質(QOL)向上を目指しています。

図1. 腎代替療法選択状況の推移 (2006年~2019年末)

図2. 腹膜透析導入数と維持患者数(2006年~2019年末)

図3. 腎移植件数(2000年~2019年末)

腎疾患治療部

腎疾患治療部が診療対象とする患者さんは、院内すべての診療科における腎臓病を合併した患者さんです。血液透析患者さんが手術や検査のために九大病院に入院する場合、入院中の血液透析の管理は腎疾患治療部が担当します。当院の透析ベッドは13床あり、入院患者さんの専用です。基本的には昼間の透析だけを行い、夜間透析は行っていません。当院における年間の透析回数は、透析導入患者さんと維持透析患者さんを併せてのべ3600回以上です(図4)。入院中の腹膜透析中の患者さんの治療やトラブルにも腎疾患治療部が対処いたします。

腎臓病に関するコンサルテーションも腎疾患治療部の重要な役割のひとつです。手術後や化学療法後の急性腎障害、救急搬送されてきた薬物中毒、電解質や酸塩基平衡の異常などを合併した患者さんを対象に、腎機能の回復や全身状態の安定化を目標に、主科の担当医師と協力して治療にあたります。年間のコンサルテーションの件数は図5のとおりで、コンスタントにご相談いただいています。

さらに、腎疾患治療部では、腎炎の診断のための腎生検標本や移植腎の病理組織診断を行っています。腎炎の診断については、関連施設における腎生検標本と合わせて年間200件以上、移植腎病理の診断を加えると、年間600件前後の病理組織診断を行っています。(図6)

以上のように、腎疾患治療部では、まさに【検尿異常から透析・腎移植まで】の各ステージで大きな役割を担っていると言えます。

図4:年間血液透析回数(2002年~2019年末)

図5. 年間のコンサルテーション件数(2002年~2019年末)

図6. 腎生検診断症例数(2002年~2019年末)

九州大学大学院医学研究院 病態機能内科学 腎臓研究室

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